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導入診断シート

『生成AIは現場から入れろ』読者特典


このシートの目的

自社の生成AI導入が、いま「進めていい段階」にあるかを15分以内で見極めるためのセルフ診断シートです。

本書で示した3つのフレームワーク——「AI導入3軸評価」精度が出ない原因の確認順序」組織設計の4論点」——を統合し、14問のYES/NO設問にまとめています。

このシートは、ベンダー選定の前に使うものです。先にここで穴を見つけ、社内で先に塞いでから、ベンダー打ち合わせに臨んでください。


使い方

  1. 検討中の業務を1つ思い浮かべる(複数業務を一度に診断しないこと)
  2. 各設問にYES / NOで回答する
  3. YESの数を合計し、最後の判定表で次の一手を確認する
  4. NOがついた項目を、優先順位順に潰していく

所要時間の目安は10〜15分です。担当者1人で答えるのではなく、業務の現場担当者と一緒に答えるほうが精度が上がります。


A. 業務選定の筋(AI導入3軸評価)

No. 設問 YES NO
A1 検討中の業務は、毎日または毎週発生する
A2 その業務には、ルールだけでは処理しきれない文脈判断や例外対応が含まれる
A3 AIが間違えても、人間の確認や修正でリカバリーできる範囲である

Aセクションの読み方: このセクションが3問ともYESにならない業務は、そもそもAIで攻めるべき相手ではありません。頻度が低ければ投資対効果が合わず、判断幅がなければ従来のプログラムで十分、影響度が高すぎれば事故時の代償が見合いません。1つでもNOがあれば、まず別の業務候補を探すことを推奨します。


B. データ・情報整理の状態(精度が出ない原因の確認順序)

No. 設問 YES NO
B1 AIに答えてほしい情報が、社内のどこかに既に登録されている
B2 その情報は1つの場所にまとまっている(複数資料に分散していない)
B3 情報は最新の状態にメンテナンスされている
B4 情報はデジタル化されている(紙・口頭伝承だけになっていない)

Bセクションの読み方: ここに1つでもNOがあるなら、どんな高性能モデルを選んでも精度は出ません。本書で繰り返し述べた通り、精度問題の8割は「答えとなる情報がそもそも整理されていない」ことが原因です。ベンダーに「精度を上げてほしい」と頼む前に、ここを直してください。


C. 組織・責任設計(組織設計の4論点)

No. 設問 YES NO
C1 AI導入で効率化した担当者の評価や役割転換について、方針を決めている
C2 AIの出力に基づく判断の最終責任者が誰か、明確になっている
C3 「仕事を奪われる」という現場の不安に対して、具体的な見通しを示せる
C4 プロンプトや情報の日常的な改善を、現場担当者が即日対応できる体制である

Cセクションの読み方: 技術的に動くAIと、現場で使われ続けるAIは別物です。このセクションのNOは、技術では絶対に埋められません。導入後に「なぜか使われない」「最初だけ使われた」となる典型パターンは、ほぼここの設計不足が原因です。


D. 本番運用の視点(PoC設計4条件)

No. 設問 YES NO
D1 PoCの目的を「精度証明」ではなく「失敗パターンの洗い出し」として設計している
D2 残存失敗率を関係者と合意し、業務上許容できる水準を決めている
D3 本番化後のモニタリングと改善サイクルの体制を想定している

Dセクションの読み方: ここのNOは、PoC止まりで終わる典型パターンです。PoCを「成功させるためのもの」として設計した瞬間、本番化のチャンスは失われます。失敗を歓迎する設計に切り替えてください。


診断結果

YESの総数: ___ / 14

YES数 診断 次の一手
12〜14 導入準備完了 小さく始めて、定着を設計せよ。最初の対象業務を1つに絞り、PoCと本番化を一体で設計する。
8〜11 準備不足あり NOの項目を優先的に潰す。特にB・Cセクションの穴は技術で埋められない。
4〜7 土台から要見直し 業務選定か組織設計のどちらかに致命的な穴がある。ベンダー選定より先に、社内整理を始める。
0〜3 着手時期ではない まだAI導入の段階ではない。業務の言語化と情報整理から始める。本書の第2章・第6章を再読することを推奨。

優先度マトリクス

YES/NOの結果から、次にどこから手をつけるかを判断する際の優先順位です。

優先度 状況 取るべき行動
最優先 A〜Aの3問すべてがYESではない 別業務の検討に戻る。今の業務はAI向きではない。
Bに1つでもNOがある データ・情報の整理と登録を最優先で実施する。
Cに1つでもNOがある 経営層と人事を巻き込み、評価・責任・不安・裁量の4論点を文書化する。
Dに1つでもNOがある PoC設計を「失敗の洗い出し」に書き換える。本書の第4章を再読。

記入後のメモ欄

NOがついた項目について、なぜNOなのか、どうすればYESにできるか、誰がいつまでにやるかを書き留めておきます。

No. 現状(なぜNOか) 改善案 担当 期限
         
         
         
         
         

出典: 『生成AIは現場から入れろ——机上のDXで終わらせない、現場に定着する導入の考え方』 黛 政隆

このシートは本書の読者特典です。社内検討での利用はご自由にお使いいただけますが、再配布・商用利用はご遠慮ください。